大腸カメラとは

大腸カメライメージ

正式には「下部消化管内視鏡検査」といいます。
肛門からスコープを挿入し、大腸全域および小腸の一部を観察する検査です。
大腸カメラは粘膜を直接観察するため、大腸がん、その前がん病変である大腸ポリープに加えて、下痢、血便の原因となる感染性腸炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、虚血性腸炎や直腸粘膜脱症候群、痔核など幅広い疾患の診断が可能です。
とくに、大腸がんの予防・早期発見においては大腸カメラを定期的に行うことが非常に大切です。
※大腸がんの説明はこちら
※大腸がんの予防に最も大切な大腸ポリープの説明はこちら

胃カメラとの違い

①前処置が必要
胃カメラは一食分絶食にすれば多くの方が「胃が空っぽの状態」になり検査可能ですが、大腸カメラは絶食にするだけでは検査は不可能です。
それは、絶食のみでは大腸内にたまった便を全て出し切ることが不可能なためです。
少しでも便が残っていると検査の支障となり、カメラの画質が極端に落ち、病変の診断精度が落ちるだけでなく、盲腸という一番深部の大腸へカメラを到達させること自体困難となります。
そのため、大腸カメラの前には「大腸を空っぽの状態」にすることが非常に重要です。
これを前処置といいます。
具体的には、検査前日は検査食という便になりにくい専用食をとっていただき、就寝前に錠剤の下剤を内服します。
※便秘がひどい方は事前に下剤を用いて連日排便がある状況にしておくことが理想です。
そして、検査当日は朝から腸管洗浄液(1.5~2L)を内服します。
内服1時間前後から排便が始まり、5回以上の排便ののち便がカスのない、黄色い水のような状態になります、こうなれば前処置完了です。
前処置の良さが大腸カメラの精度を上げる最も大切な要素です。
検査前には排便状況を詳しく聞かせていただきますが、しっかり答えていただくことが大切であることをご理解ください。
※当院では、院内の専用個室で前処置が可能です。
前処置は患者様が自宅で行い、便がきれいになってから来院し、内視鏡検査を行うことが多くの医療機関で主流となっています。
それは、感染対策としてトイレをなるべく共有したくない、自宅で自分のペースでトイレに行きたいなどの理由からで、コロナ禍をきっかけに特にその傾向が高まっています。
しかし、大腸カメラが初めてで前処置を行うことが不安な方、大腸カメラ経験者でもクリニックで前処置を行うことを希望される患者様もおられます。
そのため、当院では院内に1室、トイレ付きの専用個室を設けております。室内には電動リクライニングソファを設置し、リラックスした状態で下剤内服ができます。
自宅で下剤を飲むことが不安な方、大腸カメラが初めてで不安な方は当院で一貫して準備・検査が可能であり、ぜひご相談ください。
※当院では安全管理上、トイレの付き添いが必要な患者様の大腸カメラは行っておりません。検査が必要な場合は、適切な医療機関へご紹介します。
②挿入・観察時間が長い
胃カメラの検査時間4~5分に対して、大腸内視鏡の検査時間は概ね10~20分程度と時間がかかります。
それは、大腸カメラが肛門から盲腸と呼ばれる大腸最深部に到達するまでの「挿入」、盲腸から肛門までの大腸全域に詳細に行う「観察」、発見したポリープに対する「治療」を全て一貫して行うためです。
その中でも「挿入」が大腸カメラの難度を決める大きな要因になります。
腸管の長さ・曲がりの度合いは個人差が大きく、痩せ型の方、太鼓腹の方、便通異常がある方(特に便秘)、腹部手術後の方(腸管の癒着がある方)はスコープ挿入が困難なことがあります。
スコープ挿入による痛みを抑えるには、鎮痛剤・鎮静剤の使用以前に、いかに腸管を伸ばすことなく、愛護的に盲腸まで挿入するかにかかっています。
当院では長年の内視鏡経験のある院長が丁寧な検査を行いますので、ご安心ください。

当院の大腸カメラ

当院では最新鋭の内視鏡システム「EVIS X1」に加えて、以下2種類の内視鏡を採用しています。

①CF-EZ1500DL/I
当院の経口内視鏡と同様、100倍ズームが可能な最新鋭の拡大内視鏡であり、操作性もよく、高精度の診断・治療が可能なスコープです。
しかし、スコープ径が13.2mmとやや太く、小柄な女性で腸管の曲がりが強い患者様や腹部術後で腸管癒着を有するような患者様には、挿入性がやや悪くなります。
②PCF-H190DL/I
スコープ径11.7mmと細く(わずか1.5mmの差と思われますが、挿入性で大きな差が出ます)、腸管の曲がりや癒着が強い患者様において挿入性が向上し、安全な検査が可能となります。また、画質もハイビジョンで高解像度であるため、病変の診断には大きな影響はありません。
当院では、①による検査を主軸として、②も併用することにより、患者様にとって苦痛のない内視鏡検査を実現します。

また、当院では炭酸ガス(CO2)を用いて内視鏡観察を行っております。
大腸はそのままでは虚脱(しぼんでいる状態)しており、ポリープなどの発見が困難です。そのため、当院では内視鏡から炭酸ガス(CO2)を注入し腸管をふくらませて詳細に観察を行っています。従来は空気を使用している施設が多く、検査後腹部の張り感が出てつらい思いをされる患者様が少なくありませんでした(つまり、おならを沢山しなくてはいけない状態です)。
炭酸ガスは腸管からの吸収速度が空気よりも100倍近く早いため、検査後の腹部の張り感の改善が早く患者様の検査負担が軽減します(痛みが40%軽減されるとされます)。

最後に、当院では胃カメラ、大腸カメラの同時検査も可能です。
胃・大腸を1日でまとめて観察することで、診断・治療が早まるだけでなく、患者様にとっても何日も仕事を休まず検査を受けることができるため、メリットは大きいものと考えています。

鎮静下内視鏡

胃カメラでは「えずき」「胃を伸ばされる感じ」「膨満感」が苦痛の原因となるのに対して、大腸カメラでは「腸管の伸ばされる痛み(癒着による痛みを含む)」「腸管が膨らむことによる痛み」を長い検査時間の中で、少なからず経験します。
そのため、多くの医療機関においても、胃カメラと比較して、大腸カメラでは鎮静下内視鏡を希望される方が圧倒的に多いのが現状です。
※鎮静剤使用可能な医療機関では、8~9割の方が鎮静剤を希望されるといわれています。
当院においても、安全、安心に検査を受けていただけるよう、患者様と相談の上、最適な検査方法をご提案します。
大腸カメラを受けたことがない方、大腸カメラを受けることが不安な方、丁寧にご説明しますので、ぜひ当院を受診ください。
鎮静下内視鏡の詳細はこちら

大腸カメラの注意事項

大腸カメラは事前に診察が必要です(検査を安全に受けられるかどうか含めて、医師が判断します)。そのため、大腸カメラを希望される方は、外来受診の予約を行ってください(web予約をお勧めします)。
検査日を予約した後、検査前や検査当日の注意事項について医師や看護師から説明があります。
注意事項は以下の通りです。

【検査3日前〜前日まで】
消化の良いものをとるように心がけましょう。
きのこ類、海藻類、玉ねぎ、こんにゃく、豆、とうもろこしなどは消化が悪いため、摂取を控えてください。
【検査前日】
購入した検査食をとってください。
検査食で足らない場合のみ、消化の良いもの(素うどん、お粥、卵焼き、豆腐、食パン、バナナ、りんご、プリンなど)を追加してとっても構いません。
夕食は20時までに終えるようにしましょう。
就寝前に指摘された下剤を内服してください。
※検査当日内服していただく腸管洗浄剤を事前に作っておき、冷蔵庫で冷やしておくことをお勧めします(冷やすと飲みやすいと感じる方が多いです)。
【検査当日】
朝食はとらないでください(水、お茶、スポーツドリンクは摂取可)。
はじめに錠剤(消化剤、消泡剤)を内服します。
※朝に飲む定期薬がある方は一緒に内服してください。
次に腸管洗浄液(1.5~2L)の内服を開始します。
※自宅で飲む方は決められた時間から、院内で飲む方は指定された時間に来院いただき内服開始します。飲み方は腸管洗浄液の種類により異なります。
内服1時間前後から排便が始まり、5回以上の排便ののち便がカスのない、黄色い水のような状態になります、こうなれば前処置完了です。
検査時はリラックスできるよう、締め付けのない服装でお越しください。
鎮静剤を使用する方は、ご自身の運転(車、バイク、自転車など)での来院をお控えください。
◇朝の内服薬について
糖尿病の方は、朝のインスリン注射および糖尿病薬の内服はしないでください。
心臓病、高血圧、喘息、てんかん、アレルギーなどの薬を服内服している方や、精神安定剤、ステロイド剤などを内服されている方は、食事に関係なく朝分を早朝に服用してください。安全な検査を行うため、ご自身の判断で内服を中止しないようお願いします。
※抗血栓薬(血液をさらさらにする薬)を内服している方は、主治医の指示に従い、検査の問診時に看護師に伝えてください。

大腸カメラの主な流れ

点滴の留置
検査当日は朝から絶食の状態です。身体は脱水状態にあり、気分不快や嘔気、血圧低下の原因になります。当院では安全性確保の面から、事前に腕から点滴をとらせていただき、水分補給や薬剤投与ができるよう準備します。
検査の準備(鎮静剤の投与)
検査台で左側を下にして横になります。
肛門に麻酔のゼリーを塗布します。
鎮静を希望される方は、同時に鎮痛剤および鎮静剤を点滴から投与します。
(1~2分で鎮静剤の効果が現れます)
検査の開始(盲腸への挿入)
検査を開始します。
必要に応じて、体の向きを変えたり、腹部を軽く圧迫することがあります。
愛護的にスコープ操作を行い、大腸最深部である盲腸へ到達します。
大腸全域の観察
盲腸から肛門まで、カメラをゆっくり抜きながら、大腸全体を観察します。
大腸はひだが多い臓器であり、病変の見落としの無いよう、ひだを1つ1つかき分けるようにして丁寧に観察します。
病変を認めた場合は、必要に応じて生検、ポリープ切除を行います。
検査の終了
検査時間は10~20分程度です。
鎮静剤を使用した方はリカバリー室でお休みいただきます(30~60分程度)。
帰宅可能な状態となれば、診察室で結果のご説明を行います。
【大腸カメラ検査後の注意点】
検査終了後は、以下の点にご注意ください。
  • 鎮静剤を使用された場合、院内で30〜60分程度お休みいただきます。
  • 観察のみの場合、検査後1時間が過ぎた頃から飲食が可能です。
  • お腹にハリを感じる場合は、おならを我慢せずに出しきってください。
  • 生検を行った場合、検査当日は禁酒し、激しい運動は避けてください。
  • ポリープ切除を行った場合、3日〜10日間は禁酒を含めた生活の制限が必要になります。詳細は診察時にご説明します。
院 長
小橋 健一郎
診療科目
消化器内科、一般内科、内視鏡内科、肛門内科
住 所
〒204-0021
東京都清瀬市元町1丁目4-41
レーベン清瀬ザ・タワー1階
TEL
042-497-3788
アクセス
西武池袋線「清瀬駅」徒歩2
診療時間 日祝
9:00~13:00
14:00~16:00
16:00~18:00
休診日
木曜・日曜・祝日
○内視鏡検査・外来☆外来のみ
※内視鏡検査の件数により
診療時間変更の可能性あり
  • ※受付は診療時間の45分前までとなります
  • ※当院は予約優先制です。当日直接来院される方はお待ちいただく可能性があり、事前にネットでの予約をお勧めします